「なんてキレイなんだろう」 娘は、月の光を反射しながら、キラキラとまたたくように沈んでいく鱗たちを、小舟の上から夢中で眺めていた。 ひとつ、ひとつと海の中に落としていく。 遠くではまだ、祭囃子と村人の賑やかな声が聞こえてくる。 持っていた鱗が最後の一枚になったとき、娘は落すのをやめて、じっと海を見た。 すでに鱗の光は見えなくなり、月の光だけが海に反射している。 ふと一瞬、娘はまん丸に輝く月を見上げた。 そして―――― どぷんっ 娘は、最後の鱗を手に持ったまま、海に身を落とした。 下へ、下へと泳いでいく。 深く潜るにつれ、息が続かなくなってきた。 それでも娘は泳ぐ。が、ためて