２、還る鱗 月までふるえるような太鼓の音、夜空に高く登っていく笛の音。そしてかがり火と共に明るく輝くような、たくさんの笑い声。村からにぎやかな音が響いてきて、龍は真っ暗闇の海の底で目を覚ました。 あぁ・・・みんな元気だ・・・よかった・・・ 龍はずっとこのまま海の底で沈んで眠ったままでいたかった。龍のからだは、ずたずたに引き裂かれていた。 ひと月ほど前に村を襲った嵐の渦は、これまでよりは小さかった。なので龍は油断をして、その嵐ぜんぶを身に受けて鎮めることにした。嵐は、小さかったが思ったよりも強く、その渦を包み込んで小さくしてしまおうとした龍は、大暴れする強い風や雷によって身体を